なぜか山路愛山のキャスティングにだけ拘るNHK『八重の桜』第四十七回レビュー

今回は、伊藤博文大隈重信という、今ひとつ華に欠けるふたりの会談からスタートした。視聴率市場主義に対するアンチテーゼであろうか。20代女性の9割は冒頭でチャンネルを変えてしまっただろう。


場面かわって山本家。前回、覚馬とうらとの間の子どもでイセトキオと結婚していたミネが、幼い息子ヘイマを残して亡くなってしまった。覚馬は幼いヘイマを養子に迎え入れることにした。八重がヘイマをあやそうとするがどうも上手くいかない。綾瀬があやせない、というようなニュアンスだろうか。他の女どもが頼りないので、八重のおっかさんが張り切って世話をしている。


襄の心臓の調子は相変わらず悪い。しかし、大学設立という目標に向かって仕事に励む襄であった。そこに徳富蘇峰がやってくる。蘇峰は民友社の代表兼国民の友主筆として日本を代表するジャーナリストとしての地位を固めていく。ドラマはもうすっかり徳富蘇峰物語になってしまっている。その蘇峰の仲介で大隈重信が大学設立資金集めのための集会を開いてくれることになった。襄と八重は東京に向かう。


その集会での襄の熱弁が功を奏したのか日本の名だたる事業家が資金提供を申し出てくれた。先ずは大隈重信が「私は千円寄付をする」と言うと、うちの子どもたちは「えっ!たったの千円?」と突っ込んでいた。昔の千円と今の千円の価値は違うんだよと説明すると、非常に混乱していた。それはそうとして、この集会で今の価値に換算すると億を超える寄付が集まったという。おそらく徳洲会も参加していたのだろう。


しかし、襄の心臓の発作がまた起きてしまう。心配した勝海舟のすすめで襄と八重は鎌倉で静養を取ることにする。小町通りみたいな所にある射的の出店で、襄と八重が射的の腕を競う場面があって、八重が完勝するのだが、あのシーンはなかなか面白かった。それから鎌倉では久しぶりに元京都府知事のマキムラが登場していた。相変わらずのKYハイテンションぶりが面白かった。


ひと月ほど鎌倉で過ごした後、襄と八重は京都に戻ってきた。するとそこで八重は衝撃の事実を伝えられてしまう。襄の心臓は限界に来ており次の発作が来たらもう命はないと言うのだ。その事実を知った襄は、大学設立を最後の使命と考え、蘇峰の協力も仰いで「同志社大学設立の旨意」を国民の友や新聞に掲載し、新生日本における人材育成の重要性を広く国民に説いた。ちなみにここで民友社に勤める山路愛山が登場するのだが、本物の愛山そっくりで笑ってしまった。主要人物は本物と全然似てないのになぜそこだけ拘ったのか?


しかし、この「大学設立の旨意」が大きな反響を呼んだために、襄はますます忙しくなってしまう。心配する八重だったが、襄は「最後の一日まで一緒に戦ってください」と言って「残された時間」の協力を要請する。そして襄は再び資金集めのため東京に旅立って行った。