大河ドラマ『八重の桜』第七回レビュー
さて、早くも第七回を迎えた八重の桜ですが、そろそろドラマの雰囲気もつかめてきた感がありますので、ここまでの流れを振り返ってみたいと思います。
まず、昨年度の大河『大きな小雪と小さなマツケンのてんとう虫サンバ』は、リアル志向のミュージカル大河という新境地を開拓したものの、営業的にはレ・ミゼラブルという結果に終わったという現実からスタートしています。そのリアル志向のミュージカル大河というパラドキシカルな表現に対して、坂東玉三郎などからは絶賛の声が伝えられたものの、では板東英二がどう思っていたのか、あるいは元大関の栃東は何を感じたのかまではこちらに伝わってきておらず日本のマスメディアの偏向ぶりを村上龍が再認識するきっかけとなったとかならないとかそういうことはさておき、そもそも板東英二のコメントが取れなかったのは別の事情があったからではないかという誠に世界ふしぎ発見!な意見が表明されたとかされなかったとかもさておき、兵庫県知事からは「画面が汚い」「足の裏が汚い」「このままだとがんになるぞ」「最高ですか?」「最高です!」などと罵倒されたとかされなかったとかいうこともさておいたとして、要するに視聴率が悪かったというのが現実としてあった上での八重の桜だったというところを押さえておきたいと思います。
そうした前提で八重の桜のここまでの展開を見直してみますと、まず指摘しておかなければならないのは、西田敏行と佐藤B作以外は全員美男美女という徹底したキャスティングでありまして、もう宍道湖周辺でも騒然としていると伺っております。こういう露骨なキャスティングを見せつけられるますと、やはりNHKサイドも視聴率が気にかかってしょうがないんだろうねなどと思う人がいても仕方がないと言えば仕方がないのかもしれませんが、実はその推量が素人の浅はかさだったのだというあたりが今回の第七回放送分で徐々に明らかになってきました。こうした点を中心に今回のレビューに入りたいと思います。
さて前回もお伝えしたように会津藩主松平容保の京都守護職就任が決まり、それにともなって会津藩士が1000人規模で上洛することとなりました。不穏な情勢の京都に旅立つ前、会津藩士は不安を押し殺してがしばし家族との大切な時間を過ごすという流れで第七回はスタートしました。山本家も覚馬、八重、三郎の兄弟に、なぜか居候の川崎尚之助が加わるという妙ちくりんな構成で湯治に向かいます。さて、ここでついにと言いましょうか、「温泉と綾瀬はるか」という明々白々なフラグが立ちましたので、この時点で全国二億四千万のオッサン界隈は騒然となったわけでございます。
しかしもちろんNHKとしましても、綾瀬さんの入浴シーンだけで45分間を費やすという、いい意味でテレビ東京的下衆の極みというような演出はできかねます、というようないい意味で意味のないプライドもございます。ですから、温泉に向かう道中で、斎藤工演じる神保修理夫妻と台本通りばったり出くわして、京の情勢について眉根を寄せて情報交換をしたり、神保修理夫妻が途中で中途半端にイチャついて夫婦の絆を強調するというような、全国三億六千万のオッサン界隈にとってはたんなる税金の無駄遣いと一刀両断したくなるようなシーンをはさんで参りました。ちなみに、斎藤工さんというのは、福士加代子さんと同一人物説が飛び交っていることで話題の若手俳優であります。
さて、そうこうしているうちに問題のシーンが唐突にやってまいりました。いやあ、やってくれましたNHK。あれはまさに日本の放送史に永遠に刻まれる名場面であったと言っても過言ではないでしょう。まさにその時歴史が動いたわけです。あるいはダーウィンが来たという感じでしょか。ひょっとすると、ためしてガッテンという言い方もできるかもしれません。
唐突に温泉のシーンに切り替わった!
湯煙の向こうに見える白肌と黒髪!
八重とお雪か!
汚れたオッサン界隈が汚れた目を細めて確認を急ぎます。善は急げということでしょうか。善悪というのは相対的なものです。
ン?
ムムム?
ちょ、ちょんまげ?
ちょ、ちょ、ちょんまげ?
またお前か!
またお前かあ!
西島ぁ!
うぉぉぉっぉぉっぉおおおお!
ということで、全国四億八千万のオッサン界隈からの声をまとめますと
- おいNHK、なに狙いだ!
- ニッチがせま過ぎるやろ!
- 単館系映画か!
- どんだけー!
というようなところなんでしょうか。よく分かりません。とにかく、やってくれましたNHK。すばらしい。パチパチパチ。
ということでNHKサイドの方向性がようやくはっきりして参りましたので、以降は簡潔に流したいと思います。
会津
- 八重のお父さんがたくさん耳かきをつくる。
- 八重のお母さんはたくさん足袋をつくる。
- 八重のお父さんとお母さんが笑う。
- 覚馬がうらに櫛をプレゼント
- 奥さんに甘い言葉を囁く覚馬(覚馬役が西島秀俊から石田純一に交代)
- なんか一日で赤ちゃんが突然大きくなってたような気がしたけど気のせいか。
江戸
- 殿様に餅をもらう会津藩士
- こうなったら松崎しげる(歩くメラニン色素)も出すしかないのか
京都
- 京都に着いた会津藩士
- 公家は金で動く
- 公家は金で動く
- 大事なことは二度言う
会津
- 会津ではカルタ(剛力さん無理やり登場)
京都
- 容保「ちょっと不逞浪士の話も聞いてみようか?」
- 慶喜「そんなの無駄無駄バーカバーカ俺知らね」
- フンドシを干す覚馬(覚馬役が石田純一から西島秀俊に交代)
会津
- 種痘をする剛力さん
- ありがとうジェンナー
京都
- 容保が激怒してあっさり話しあい路線を撤回。
会津
- 八重と山川大蔵がなんかいい感じになる
- うっかり川崎尚之助八兵衛がぶち壊す
ということで今回はこういった流れでした。京都がますますカオスとなり、会津もますます苦しい立場に追い込まれていきます。新島襄はたぶんもう死んだんだと思います。