「新島襄を出さないと USJ は同志社大生に破壊されるのではないか」『八重の桜』第十四回レビュー 

八重と尚之助の結婚式でごぜえます。ちなみに時代的には1865年です。結婚の祝いの席の場面では、親戚のオッサンふたりが酔っ払って、尚之助が浪人の身であることに絡んできました。怒り狂った八重が新式銃をぶっ放して親戚のおっさん二人を亡き者にするという大河らしからぬバイオレンスな場面が期待懸念されましたが、途中で気を利かせた八重の父親がうまいこと間に入ってその場をしのぎます。しかし、八重の父親も尚之助もしこたま飲むこととなり、祝いの席がお開きになる頃には一歩も動けない状態になってしまう。晴れの結婚式で酔いつぶれるという醜態を演じた新郎を見て怒り狂った八重が新式銃をぶっ放して尚之助を亡き者にし、入れ替わりで姿をあらわした新島襄と一気に結婚というところまで行くのではないかと同志社大関係者は期待したはずであるが、ここでもその期待はNHKに裏切られる形となる。ここで八重は、横綱が米俵を担ぐように、酔いつぶれた尚之助をヒョイっと肩まで担ぎあげて家族を驚かすのであった。八重の力持ちキャラを愛する全国七億人のファンにしてみれば「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」という感じではなかったではないでしょうか。


自室に戻った八重は覚馬からお祝いで送られてきた口紅を見る。そして、ここで突然目を覚ました尚之助が、指で八重の唇に指で紅をさすという色っぽいシーンもあった。指といってももちろん足の指ではないので注意が必要だ。


一方、京都にいる覚馬は眼科医に診察してもらっていた。眼科医役は品川徹さん。梅ちゃん先生の検査技師役から横滑りで入閣といったところだろうか。とにかく味わいがあり過ぎて怖い。ここで覚馬は白内障だと告知され、いずれ失明すると告げられてしまう。苦悩を深める覚馬であった。


場面変わって越前では水球日本代表の西郷隆盛松平春嶽のもとを訪れていた。ふたりは、これまでのような幕府の独裁ではなく、複数の有力な藩による「共和制」によって新しい日本の形を描いていくことで意見の一致をみる。そしてもちろんふたりは仲良く今年で発売から40年を数えるチョコモナカジャンボを頬張るのであった。


一方、会津藩の苦境は続く。あれだけ天皇のため幕府のために京都を守ったというのに、幕府から京都守護職の役職料を差し止められてしまう。朝廷と関係を深め、幕府に反抗するのではないかとあらぬ疑いをかけられたのだ。家老の神保内蔵助などは、こうなったら会津に帰りましょうと言い出す。ちなみに神保内蔵助役の津嘉山正種さんも梅ちゃん先生からの横滑り入閣組である。日本の俳優陣の人材は底をついておるのは明白であり、TPPに参加しさえすれば、会津の殿様役にマット・デイモン、家老役にダスティン・ホフマンというようなキャストも可能となるではないかというのがTPP推進派の言い草であるがここでは深入りはしない。このように家臣は会津に帰りたがっているのだが、藩主の松平容保は天皇への忠義を説くばかりであった。


ここでまた場面は会津に戻る。ここでは、八重と尚之助の関係が結婚後も変わらず対等な仲間同士のようで夫婦らしくない、と八重の父親が苦言を呈するという無理矢理な演出が挟まれる。鉄砲の改良をふたりで続けているとついつい仲間同士のような感覚になってしまうから、取り敢えず鉄砲の仕事から離れて、世間並みの嫁のように陰で夫を支えるように父から命じられる八重であった。しかし八重の様子がおかしいことに気付いた尚之助は八重に向かって鉄砲の改良の仕事から離れるとはどういう了見だと非難する。これに対して八重は、尚之助がおかしな嫁をもらったと世間から後ろ指さされないようにと思ってやっているのに!と怒りだす。それに対して尚之助は「わたしは鉄砲を打つ嫁を娶った。世間並みの奥方などはじめから望んでいない」と言い放つ。そこまで言われると八重も黙ってはいない。何だこの野郎私じゃ世間並みの奥方になれねえと抜かすのかこのスットコドッコイというような反論をする。そうすると尚之助は

世間並みになんぞならなくて結構。あなたはあなたでいればいい。私は死にましぇーん。あなたが好きだから。

と宣言した。なかなかいい場面でありましたのでここでおそらく瞬間視聴率が78%くらいには達したと思われます。


八重と尚之助がいい感じでイチャイチャしている間に、いったんは和平が成立した長州を巡る情勢が再び動き出す。いよいよ将軍が大阪城に入り、幕府は長州を討つ動きを強めていく。長州征伐に消極的な薩摩は、京都で蟄居中の岩倉具視との関係を深めていく。京都まで訪れてきた大久保利通に対して岩倉具視はサイコロを振るように命じる。サイコロが転がっている間「何が出るかな?何が出るかな?」と軽妙な歌を口ずさむ岩倉を怪訝な様子で見つめる大久保であったが、サイコロが止まると「情けなかった話」という目が出ているではないか。岩倉はそのサイコロの目をカメラに向けながら「情けなかった話。ナ・サ・ヴァ・ナ。」と叫んだ後で「幕府と長州との戦いではどちらを勝たせてもあかん」などと情けないほど計算高いことを言い出す。大久保は戦が始まれば長州は一気に攻め落とされるのではないかという見解を示したのに対して、岩倉はある男の名前を出して、長州に対する警戒を露わにする。その男こそ桂小五郎である。


そして長州では、いつの間にか地元に戻った桂小五郎が来るべき戦いへの準備に励んでいる。実は、この桂小五郎こそが、八重の桜の陰の主役と言ってもいいのではないかというのが私の仮説であるが、それについてはまた後日述べることにする。述べなかったりもする。


そしてそして会津では秋月が蝦夷地勤務を命じられ旅立っていくのであった。